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宵闇
第2章 兄と妹


椅子に座った彼女と向かい合うように床に座り、話を始めた。


「琴音ちゃんたちがうちに来て一ヶ月経ったけど、何か困ってることとかない?」

「あ……大丈夫、です」

「少しは慣れた?」

「はい。おじさんもいい人だし。
……えっと、お兄さんも、優しいので……」


はにかんだように笑って答える彼女。


「ん? お兄さんって……僕のことだよね?」


尋ねると、恥ずかしそうに、こくんと頷く。
なんだか照れくさくなった。


「お兄さん、なんて言いづらいでしょ? 名前でいいよ」

「……名前、ですか」

「あ、もしかして忘れた?」

「いえ、覚えてます!」

「ほんと? よかったー」


少し大袈裟に息を吐くと、琴音ちゃんが楽しそうに笑った。
その表情に、何だか僕も嬉しくなる。


「……なんかごめんね。
もっと早く、ちゃんと話するとよかったね」

「いえ……!
もっと早くなんて、きっと緊張して会話にならなかったと思うので……!」

「あ、言葉づかい、そんな丁寧じゃなくてもいいんだよ?」


僕たち兄妹なんだから、と続けると、琴音ちゃんは、はい……と頷いた。


「たぶん、もう少ししたら慣れると思うんで……そしたら大丈夫だと思います」


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