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宵闇
第2章 兄と妹
一緒に住み始めてから一か月が経つ頃────。
「琴音ちゃん、いい?」
彼女の部屋のドアをノックして、声をかけた。
「はーい」
中から聞こえてきた声。
ドアを開け、少し話をしてもいいか聞くと、彼女は頷いて答えた。
実は彼女とはまだあまり言葉を交わせずにいた。
もちろん、話かけると答えてはくれる。
けれど彼女の方から話しかけてくれることはまずなかった。
どことなく、ぎこちない──そんな、今の僕たちの関係。
せめてもう少し、僕という存在に慣れてもらった方が父さんも雪乃さんも安心するだろうなと思い、一度ふたりでちゃんと話してみることにしたのだ。