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黒椿人形館
第1章 黒椿館
 真菜はしのめの身体から目が離せなかった。こちらを向いて立っているので、形の整った乳房がはっきりと見える。
 真菜は、蝋人形の部屋でしのめの乳房に軽く触れた甘い感触を思い出した――。
 突然、男はしのめの身体を彼女の後ろから鉄格子に押し付けた。
 ――だめ!!
 ――しのちゃんに触れないで!!
 ――あたしが……
 ――触れたいのに……
 しのめは一瞬痛そうな顔をしたが、それでも彼女の顔は――何かを期待しているような、そんな表情だった。
 男はしのめの片腕を肩の高さまで持ち上げ、前腕部だけを上に折り曲げて縄で鉄格子にくくりつけ、もう一方の腕も同じように縛った。そしてしのめの脚を大きく開かせると、片方ずつ足首を鉄格子に縄で固く結びつけた。
 しのめは、その身体を鉄格子に縛り付けられたのだ。
 真菜は男が真紅のバラ鞭を手にしているのに気付いた。
 気付いたのもつかの間、男はそれを、しのめのむき出しの尻に振り下ろした。
 「あぁぁぁあっ!!」
 しのめの叫び声が響く。
 ――やめて……!
 真菜は思わず目をつむって耳を塞ごうとした。が、手錠のせいで耳は塞げない。
 目を閉じている真菜の耳に、皮膚を弾く痛々しい鞭の音と、しのめの叫び声だけがいやおうなしに飛び込んでくる。
 「ああうんっ……!! あうっ!! はあぁぁああんっ……!!」
 ――え……?
 真菜はしのめの叫び声に違和感を覚えた。
 痛みに耐えるだけの声色ではない。
 艶やかさのようなものが混じっている。
 真菜は恐る恐る目を開けて、鞭打たれているしのめを見た。
 しのめの顔は――
 苦痛に美しい顔を歪めつつ、頬を赤らめ恍惚としていた……!
 あの、凛としてあまり表情を変えない、常に顔からも全身からも芳香にも似た品のある空気を発し続けているしのめが――
 苦痛であるはずの鞭打ちで、淫靡な『メス』の顔をのぞかせているのだ。
 それだけではなかった。
 半開きの唇の周りを唾液で濡らし、涙も鼻水さえも垂れ流している。
 真っ赤な鞭で打たれるたびに、その痛みから逃れるために尻をできるだけ男から遠ざけるべく腰を前方に押し出そうとするが、当然鉄格子に阻まれる。そうなるとしのめの股間は、脚を大きく開かされたまま、真菜のいる部屋の中に向けて突き出したようになる。
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