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黒椿人形館
第1章 黒椿館

    ※  ※  ※

 真菜は三つある扉のうち、一番左の扉から開けてみることにした。
 洋館の中は昼間とは思えないほど真っ暗だ。とはいえどこからか隙間から漏れてくる陽の光で、とりあえずは中の様子は分かる。
 ショートブーツを通して感じる絨毯の感触が、やたらふわふわする。高級品なのだろうか。
 自分の心臓の速い鼓動が聞こえるくらいの静寂の中、我ながらこんな大胆な行動が取れるんだと思いながら、真菜は歩を進めた。
 それは、しのめのためだからだ。
 確かに、しのめはこの洋館に入っていった。
 親友の姿を見間違えるはずはない――。
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