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黒椿人形館
第4章 壁
4.壁
(1)
真菜がこの館に閉じ込められてから二週間近く経った。
時計もなく、窓も鉄板で埋められているため時間の感覚がつかみづらかったが、鉄板のわずかな隙間から外の光を確認できた。なので、昼なのか夜なのかくらいは分かる。
毎朝、ベッドから起きると燭台の蝋燭は全て新しいものに取り替えられ、入口近くには一日分の食事がホテルのルームサービスのごとく小さな台に用意されていた。ほとんどがサンドイッチなど温かくない食べ物ばかりだったが、決して不味く質の悪いものではなかった。バスルームのバスタオルもいつの間にか取り替えられていた。
寝ている間に、あの男がやっているのだろうか。
初めて責めを受けて以来、同じようにあの男に何度か責めを受けた。
男は真菜にいろんなメイド服を着せた。男曰く、メイド服にもいろんなバリエーションがあるらしい。大きく分けてロングスカートを基調とするヴィクトリアンメイド型と、ミニスカートを基調とするフレンチメイド型。さらにそこからディティールの違いで呼び方も細分化されていく……しかし真菜にはどうでもよかった。どうせ何を着せられても、そのたびに下着なしでスカートをまくり上げられたまま縛られ、鞭打たれ、髪の中に射精されるのだ。
鞭やフェラチオ、肉棒での膣への蹂躙は、最初の責め以来、常にそこにしのめの感触を探し出し、その小さな『甘み』を必死に拾い上げ――しのめとセックスすることで――それに耐え続けた。
責めに悦んでいるんだと男に思われようが構わなかった。悔しくても恥ずかしくても、真菜にはそれしか耐える方法がなかったからだ。
しかし髪の中への射精の気色悪さだけは嫌で嫌で仕方がなかった。ひたすら単純に我慢する以外にない。もう髪に男の精液の匂いがこびりついて一生取れないような気がする。髪の中に射精するなど、どんな変態趣味だと思ったが、それでも無節操に膣内に出されるよりはましだ。
男とは相変わらずまともな会話はできず、そのくせ真菜を人形呼ばわりしながら、尻や脚をねっとりとまさぐられつつしのめと比較される。