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黒椿人形館
第4章 壁
(2)
真菜は一瞬目を疑ったが、穴の向こうの顔は何度見てもやはりしのめの顔だ。
真菜は必死になって仰向けに寝転がり、もどかしそうに穴の中に右腕を付け根の限界まで差し入れて、できるだけ伸ばした。
手を入れると、穴を覗く姿勢は取れなくなるので向こうが見えなくなる。しのめの顔も見ていたいが、真菜はそれ以上にしのめの『感触』を渇望していた。
「しのちゃん……! しのちゃん……!」
壁の向こうで、真菜の指を二つの手のひらが優しく握るのを感じた。
――ああっ……
待ちわびた、しのめの感触だった。
こんなにも、柔らかい手があるだろうか――
しのめの体温は真菜の手のひらから腕を伝わり、淡い痺れを伴って全身へと広がっていった。
しかし、しのめはすぐに真菜の手を離して声を抑えながら言った。
「見つかったらひどい目に遭うよ? 早く戻して!」
「いやっ!」真菜がしのめの言葉をさえぎる。
確かにあの男に見つかったら何をされるか分からない。それでも真菜は、壁の向こうで手をあちらこちらに動かして、しのめの感触を必死に求めた。
「マナ……いいから聞いて……手を抜いて」
しのめの言い聞かせるような口調に、真菜は名ごり惜しそうに手をゆっくり抜いた。そして穴から向こう側を覗くと、思わず「キャッ!」と声を上げた。
十センチほど離れた穴の向こう側には――
薄暗い中にもはっきりと澄んだ桃色の花弁があった。
しのめが脚をM字に大きく開き、その中心をできる限り穴に寄せているのだ。
「しっ……しのちゃん、何を……」
真っ白い肌の、陰毛が一本もない股間――しのめの両手によって陰唇が広げられ、膣口のみならず尿道口も陰核もさらけ出されていた。
「マナ……私のクリトリス、見える?」
真菜は穴に顔をくっつけ、灯りをさえぎらない程度にできるだけ近くで見ようとした。
真菜は、ふと違和感を感じた。
しのめのクリトリスに十字のかさぶたのようなものが見える気がするのだ。
「前にね……刃物でこの痕を付けられたの」
「えっ!?」
「ここから逃げようとしたから」
それを聞いた真菜は、自分がされたわけではないのに股間に強烈な痛みが走ったような気がして、思わず脚を思い切り閉じてひざを丸めた。
――そんな……