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黒椿人形館
第6章 乱舞
6.乱舞
(1)
それ以来、男――主から受ける鞭打ちで真菜は必ず昇天するようになった。
相変わらずいろんなメイド服に着替えさせられるが、それさえ楽しみになりつつあった。
そしてなんといっても、上半身をきつく締め付けるように縛られる縄が――
真菜にとってこれ以上なく心地良かった。
最初に主に縄をかけられる瞬間から、真菜の身体の中を甘い痺れが波紋のように広がるようになった。そして固く縛り上げられると、包まれるような恍惚感と安心感が得られる。
縛られて時間が経つにつれ、少しずつ縄は真菜の身体を一層締め付ける。
締め付けられれば締め付けられるほど、主にやさしく抱擁され、蕩けそうな幸福感に浸る。
『主』にすべてを委ねる『人形』――。
何をされても、何を求められても、全てそれに身を任せるだけの『人形』――。
その『立場』が、真菜に安心をもたらした。いや、安心をようやく手に入れた。
真菜は、ひとつだけ主に要望した。
調教のたびに、必ず男根の先をゆっくり嗅ぐ時間を取って欲しい――そう伝えた。
主はそれを聞き入れ、真菜は毎回必ず、そそり立つ肉棒の先端から放たれる、汗の匂いと尿の匂いを混ぜて蒸したような、それと合わせて発せられる『獣臭さ』のようなオスの薫りを、たっぷり嗅ぐようになった。
主が満足いくまで真菜の尻と脚を、手のひらと指と目で味わったあと、真菜は目の前に突き出される肉棒をじっくりと見る。天に向かってそそり立ち、血管を浮かせ、亀頭を張り詰めさせ、先端からオスの汁がわずかに漏れ出ている。
そして――真菜は自ら鼻を近づけて、嗅ぐ。
同じ匂いなのに、どうしてあんなに嫌悪しか抱くことができなかったのだろう、と不思議に思えるくらい、真菜は主のオスの槍を味わうように嗅いだ。薫りは鼻孔を通り脳へ入り込み、真菜の下腹部の奥にある芯に呼びかける。芯はそれに呼応し、自らの蜜を搾り出し、花弁からじんわりとあふれ出させる。