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黒椿人形館
第6章 乱舞
しのめの笑みには、妖艶さがにじんでいた。そして両手でゆっくりと真菜の右手をつかみ、その指先を口に含んだ。
「……あっ……」
真菜の口から吐息が漏れる。
「……もしマナが逃げること選んでたら……私とは一生の別れになってたかも」
しのめは真菜の指を口に含んだまま言った。
「どういう……こと……?」
「マナ、私は……ご主人様の『人形』だから。ここから永遠に出られない」
主は、二人の様子を見ながら、怒りの表情どころか優しいほほ笑みを浮かべている。
――ご主人様……?
「だからしのめにお前を試させたんだ、マナ。三人一緒にいられるかどうかをね」
主は、真菜の頭を撫でた。
しのめは真菜の指を開かせ、その付け根に舌を這わせた。
「しの……ちゃん……はあっ……あん……」
「マナ……これでずっと一緒にいられるね。でも……」
しのめは真菜の人差し指を強く噛んだ。
「いっ……!!」真菜が思わず叫ぶ。
「ちょっと妬けちゃった……私を選んでくれなかったから」
「僕の言った通りだろう?」
主はそう言って折った椿の枝を、真菜の左手に渡した。
しのめは、真菜の右手人差し指の、噛んだ部分を両手で包み込みながら言った。
「私の気持ちはこの程度で収まるけど、マナは気が済まないよね……マナの気持ちをもてあそんだんだもん」
「もてあそばれたなんて……思ってないよ……」
「ほら、それ。それが人に好かれちゃうところ」
「しの……ちゃん……」
「叩いて私を」
「……え?」
「マナに叩いて欲しいの。思い切り」
「しのちゃん、何言って……」
「ご主人様」
しのめの声が真菜の言葉をさえぎる。
主は、内容は聞かずとも分かっていると言わんばかりに笑顔を浮かべ、洋館の方へと歩いていった。
「……あっ……」
真菜の口から吐息が漏れる。
「……もしマナが逃げること選んでたら……私とは一生の別れになってたかも」
しのめは真菜の指を口に含んだまま言った。
「どういう……こと……?」
「マナ、私は……ご主人様の『人形』だから。ここから永遠に出られない」
主は、二人の様子を見ながら、怒りの表情どころか優しいほほ笑みを浮かべている。
――ご主人様……?
「だからしのめにお前を試させたんだ、マナ。三人一緒にいられるかどうかをね」
主は、真菜の頭を撫でた。
しのめは真菜の指を開かせ、その付け根に舌を這わせた。
「しの……ちゃん……はあっ……あん……」
「マナ……これでずっと一緒にいられるね。でも……」
しのめは真菜の人差し指を強く噛んだ。
「いっ……!!」真菜が思わず叫ぶ。
「ちょっと妬けちゃった……私を選んでくれなかったから」
「僕の言った通りだろう?」
主はそう言って折った椿の枝を、真菜の左手に渡した。
しのめは、真菜の右手人差し指の、噛んだ部分を両手で包み込みながら言った。
「私の気持ちはこの程度で収まるけど、マナは気が済まないよね……マナの気持ちをもてあそんだんだもん」
「もてあそばれたなんて……思ってないよ……」
「ほら、それ。それが人に好かれちゃうところ」
「しの……ちゃん……」
「叩いて私を」
「……え?」
「マナに叩いて欲しいの。思い切り」
「しのちゃん、何言って……」
「ご主人様」
しのめの声が真菜の言葉をさえぎる。
主は、内容は聞かずとも分かっていると言わんばかりに笑顔を浮かべ、洋館の方へと歩いていった。