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一夜の愛、人との愛
第11章 束の間の安寧
(ルシオ…)
純粋な動物の瞳に、優しく微笑み返していると、考え過ぎかも知れないと、ふと、そんな気持ちが生まれる。
もしかしたら、昨日の夜のせいで、今夜は少し慣れているかもしれない。
それに、何かあれば、ルシオと共に耐えるか、あるいは、逃げ場所だって私は知っているのだから―――。
膝の上の綺麗な毛並みを一つ撫でてから、淡い笑みを浮かべて、真理亜が顔を上げる。
「耐えられるかは分からないけど…、それしか無いなら、ルシオと一緒に過ごします」
その微笑みに、クレイルが一際申し訳無さそうな顔をして、「すみません」と呟く。
「全く…、上の考えていることは分からない」
美しい顔を疲弊まじりに歪めて、目元を掌で抑える彼の姿が、不意に職場で愚痴を言っていた上司の様子に重なった。
「……っふ」
思わず息混じりに笑いを漏らすと、ルシオの耳が小さく震える。
はっとしたように自分を見たクレイルに、真理亜は微笑んだまま唇を開いた。
「天使と人間って、どこか似てるんですね」
「……あぁ。そうかもしれませんね」
鈴を転がすような真理亜の声に、クレイルが瞬いた後、我に返ったように頷いた。
無意識に天使を翻弄する彼女の膝で、ルシオが「ミー」と鳴いて甘えている。
笑みを浮かべて頭を撫でてやる彼女の姿に、クレイルが再び、その双眸に不安げな色を浮かべていた。
純粋な動物の瞳に、優しく微笑み返していると、考え過ぎかも知れないと、ふと、そんな気持ちが生まれる。
もしかしたら、昨日の夜のせいで、今夜は少し慣れているかもしれない。
それに、何かあれば、ルシオと共に耐えるか、あるいは、逃げ場所だって私は知っているのだから―――。
膝の上の綺麗な毛並みを一つ撫でてから、淡い笑みを浮かべて、真理亜が顔を上げる。
「耐えられるかは分からないけど…、それしか無いなら、ルシオと一緒に過ごします」
その微笑みに、クレイルが一際申し訳無さそうな顔をして、「すみません」と呟く。
「全く…、上の考えていることは分からない」
美しい顔を疲弊まじりに歪めて、目元を掌で抑える彼の姿が、不意に職場で愚痴を言っていた上司の様子に重なった。
「……っふ」
思わず息混じりに笑いを漏らすと、ルシオの耳が小さく震える。
はっとしたように自分を見たクレイルに、真理亜は微笑んだまま唇を開いた。
「天使と人間って、どこか似てるんですね」
「……あぁ。そうかもしれませんね」
鈴を転がすような真理亜の声に、クレイルが瞬いた後、我に返ったように頷いた。
無意識に天使を翻弄する彼女の膝で、ルシオが「ミー」と鳴いて甘えている。
笑みを浮かべて頭を撫でてやる彼女の姿に、クレイルが再び、その双眸に不安げな色を浮かべていた。