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一夜の愛、人との愛
第2章 朝8時のハプニング
朝8時。

目覚まし時計を止めた記憶が無い。
それでも、真理亜が目覚めた時には、家を出る5分前だった。

(やばい!)

マッハで着替えて顔を洗う。
化粧水と乳液、化粧下地とパウダーだけつけると、口紅をひいて鞄を持った。
後は会社のトイレで適当にすればいい。



真理亜の会社は一部上場のIT企業。
彼女はコールセンターでサポートスタッフとして働いている。
女ばかり8名の部署で、服装やメイクについての煩わしい規則も無い。
お局様もいないが、立場としては、真理亜がお局様も兼任している。
若い彼女ではあるが、短大を卒業してから、この会社に入り5年目、チームリーダーという立場についている。
『3年で人が辞める』が定例化している彼女の会社では、入社5年の彼女は、既に古株なのだ。

昨日、人員増加と研修充実の提案のために上層部と交渉をしていたが、その際に資料の数字に誤りを見つけ、苦笑されてしまった経緯がある。
だからこそ、いつものことだが、尚更、今日は遅刻などしたくない。



初夏の駅前通りを、いつもの電車に飛び乗るために、彼女はピンクのストライプのシャツと、グレーのスカートで駆け抜けた。


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