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一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
天蓋。
その四方に僅かに垂れる白い薄いヴェール。
綺麗に整頓された生活感の薄い部屋と、大きなソファ。
目が覚めた時、真理亜は、抜けだしたはずのクレイルの部屋のベッドの上に、ナイトウェア姿で横たえられていた。
(あれ…)
後ろ手に手をつき、上体を起こした彼女の耳に、開いたままのテラスへのガラス戸の向こうから、美しい兄弟の話し声が微かに聞こえてくる。
瞬きながら様子を伺う真理亜の視界に、白い塊が横から入ってくると、ひょいと寝具の上に飛び乗ってきた。
「ルシオ…」
柔らかな生き物は、静かに真理亜の膝上に収まると、目を閉じて甘えるように毛布越しに真理亜の胸元に顔を擦り付けた。
真理亜が右手で撫でてやると、細長い兎のような耳がピクッとくすぐったがるように震える。
「昨日は、ありがとう」
自分が部屋を出る時の、ルシオの態度を思い出し、そっと声をかけてから、真理亜は、ふと右手の動きを止める。
(あれから……)
熱に浮かされたように地下に下りて、あの黒い天使の傍に腰を降ろしてから―――。
「……」
思い出しただけで、腰の奥が疼き、自然と右手で口元を抑えてしまう。
ルシオが甘えられる掌を求め、一瞬、赤い瞳で真理亜を見上げるも、すっと顔を戻すと膝上で丸まって目を閉じた。
その四方に僅かに垂れる白い薄いヴェール。
綺麗に整頓された生活感の薄い部屋と、大きなソファ。
目が覚めた時、真理亜は、抜けだしたはずのクレイルの部屋のベッドの上に、ナイトウェア姿で横たえられていた。
(あれ…)
後ろ手に手をつき、上体を起こした彼女の耳に、開いたままのテラスへのガラス戸の向こうから、美しい兄弟の話し声が微かに聞こえてくる。
瞬きながら様子を伺う真理亜の視界に、白い塊が横から入ってくると、ひょいと寝具の上に飛び乗ってきた。
「ルシオ…」
柔らかな生き物は、静かに真理亜の膝上に収まると、目を閉じて甘えるように毛布越しに真理亜の胸元に顔を擦り付けた。
真理亜が右手で撫でてやると、細長い兎のような耳がピクッとくすぐったがるように震える。
「昨日は、ありがとう」
自分が部屋を出る時の、ルシオの態度を思い出し、そっと声をかけてから、真理亜は、ふと右手の動きを止める。
(あれから……)
熱に浮かされたように地下に下りて、あの黒い天使の傍に腰を降ろしてから―――。
「……」
思い出しただけで、腰の奥が疼き、自然と右手で口元を抑えてしまう。
ルシオが甘えられる掌を求め、一瞬、赤い瞳で真理亜を見上げるも、すっと顔を戻すと膝上で丸まって目を閉じた。