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一夜の愛、人との愛
第16章 気配

(……)
少し考えてから、ザレムは顔を真理亜の耳元に寄せた。
「進んでいる。ただ、俺に分かるのは"イザヤの実"の位置じゃない。天使に分かるのは、森の主の居場所だけだ。俺がまだ、天使の血をひいているなら、俺が感じている道は"森の主"への道だ」
「森の……、ぬ、し?」
「そうだ。……ただ、森に入ってから、妙な気配を感じる。いいから、お前は眠れ。闇は人間のエネルギーを削るだろう。起きてから動けなくなったら、俺が迷惑だ」
「でも―――」
「眠れ」
低い声で命じると、ザレムは真理亜の指をローブから引き剥がした。
緩慢な動作で、抗おうと自分を見上げた彼女の顔を片手で軽くいなし、そのまま隣に横たわらせる。
それでも尚、真理亜は何か言おうとしていた。
自分を見上げる視線に気付けば、ザレムは片手を伸ばし、真理亜の瞳を撫でて強制的に目を閉じさせる。
それだけで、スイッチが切れた人形のように、真理亜は混沌とした眠りの渦に意識を飲み込まれていた。
少し考えてから、ザレムは顔を真理亜の耳元に寄せた。
「進んでいる。ただ、俺に分かるのは"イザヤの実"の位置じゃない。天使に分かるのは、森の主の居場所だけだ。俺がまだ、天使の血をひいているなら、俺が感じている道は"森の主"への道だ」
「森の……、ぬ、し?」
「そうだ。……ただ、森に入ってから、妙な気配を感じる。いいから、お前は眠れ。闇は人間のエネルギーを削るだろう。起きてから動けなくなったら、俺が迷惑だ」
「でも―――」
「眠れ」
低い声で命じると、ザレムは真理亜の指をローブから引き剥がした。
緩慢な動作で、抗おうと自分を見上げた彼女の顔を片手で軽くいなし、そのまま隣に横たわらせる。
それでも尚、真理亜は何か言おうとしていた。
自分を見上げる視線に気付けば、ザレムは片手を伸ばし、真理亜の瞳を撫でて強制的に目を閉じさせる。
それだけで、スイッチが切れた人形のように、真理亜は混沌とした眠りの渦に意識を飲み込まれていた。

