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一夜の愛、人との愛
第16章 気配
(くそ!)

反射的に男の消えた方へ走り出すも、視界が悪く、翼が幹や枝にぶつかって、思うように前に進めない。
ならば、と、翼を背中に畳み、ザレムは焦りの色を隠さないままに、辺りの匂いを確かめた。
翼を閉じれば、天使としての力は弱まる。
乱立する木々の間は進みやすくなっても、掴める匂いは薄れ、周囲の色や形も、一層、見えにくい。相手は森の住人だ。地の利は圧倒的に、向こうにあり、自分の武器は、この森の闇では何の役にも立たない。

「くそっ!」

胸の内で毒づいた言葉を、再び、今度は唇から吐き出しながら、ザレムは木の幹に拳を打ち付けた。

真理亜の匂いも確かめられず、仮に空を飛べば、この地にたどり着いた時に見た、あの雷が自分の身体を貫くだろう。
森の中を進むには、羽は邪魔だが、羽が無ければ、何を探すにしても手も足も出ない。
この闇が、邪魔だ。
かといって、立ち止まっていれば、獣人が真理亜に何をするかも知れない。

(……)

一つ息を吐くと、ザレムは、男と真理亜が消えていった闇の奥を、強く睨み据えた。

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