この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第16章 気配
―――と。

男が、ふっと柔和に微笑んだ。
流れる空気が弛緩して、ザレムが気を抜いた一瞬だった。
引っ掛けたままの爪に不意に力を込め、雪豹は、真理亜の胸元から首筋までの布を一気に切り裂こうとした。

が、男の動きは、予想に反して食い止められる。
エデンの服は、柔らかそうな見た目とは裏腹に、凶器の侵入を防ぐ細かな繊維で、真理亜の身体を守っていた。一つ瞬いた豹は、その事実に、口元に浮かべていた笑みを深めると、乾いた唇をぺろりと舐めて、浮かぶ笑みを酷薄なそれに変えていく。

「おもしれー」

張り合うように笑って、直後、男は、真理亜の身体を片手で抱き上げ、肩に担いだ。
力の抜けきった真理亜の身体は、ぐにゃりと弛緩したまま、何の抵抗も無く男の肩に収まる。
その素早い動きにはっとしたザレムをよそに、豹は口角を持ち上げると、腰をかがめ、前傾姿勢で唇を舐めた。

「返して欲しけりゃ、追ってきな」
「! 待て!!」

反射的に足を踏み出すザレムを一瞥し、片眉を持ち上げたのを最後に、獣は地を蹴り、素早く躍動した。
傍を風が切ったかと思えば、ザッと揺れる木の葉の音を最後に、二人の姿が消えている。
振り向いた男の背中は、真理亜を連れたまま、暗闇の中へ溶けながら走り去っていた。
/226ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ