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一夜の愛、人との愛
第17章 感知
真理亜が躊躇する間にも、金髪の男は木々の間をゆったりと進んでいく。
残されたのは、真理亜とザレム、そして二人から離れたところで無言で待機している雪豹だけだ。
あの長身の男ならば、ザレムをかついで運べるかもしれない。
「あの人に、運んでもらったら―――」
「おい」
苛立ち混じりに、ザレムが真理亜の言葉を遮った。
「たまには俺の言うことを聞け。余計なことを考える暇があったら、さっさと奴を追いかけろ」
(余計な、こと…)
その言葉に、何に衝撃を受けたか分からないまま、真理亜は無言のまま立ち上がると、無意識に小さく後ずさった。
唇を引き結び、ザレムの背中を見つめたまま、一瞬、頭が真っ白になって、何故か目尻に涙が滲む。
強く握りしめた両手の拳が小さく震えている。
「おい」
動かない背後の真理亜に、痺れを切らしたザレムが声をかけた瞬間だった。
真理亜は振り向きもせずにザレムの横をすり抜けて、前を歩く赤いコートの男を追いかけ始めた。
緑の木々の間に、真っ赤な布地は良く見えた。
雪豹の横を駆け抜けた時も、真理亜は脇目もふらずに、ただ足を動かした。
走りだしてから、真理亜の左胸にチクチクと刺すような痛みが走った。
フローが爪を立てた跡が、今になって痛みを訴えだしたのだと、考えた。
それ以上のことは何も考えないように、真理亜はロックと呼ばれた金髪の男を追いかけた。
残されたのは、真理亜とザレム、そして二人から離れたところで無言で待機している雪豹だけだ。
あの長身の男ならば、ザレムをかついで運べるかもしれない。
「あの人に、運んでもらったら―――」
「おい」
苛立ち混じりに、ザレムが真理亜の言葉を遮った。
「たまには俺の言うことを聞け。余計なことを考える暇があったら、さっさと奴を追いかけろ」
(余計な、こと…)
その言葉に、何に衝撃を受けたか分からないまま、真理亜は無言のまま立ち上がると、無意識に小さく後ずさった。
唇を引き結び、ザレムの背中を見つめたまま、一瞬、頭が真っ白になって、何故か目尻に涙が滲む。
強く握りしめた両手の拳が小さく震えている。
「おい」
動かない背後の真理亜に、痺れを切らしたザレムが声をかけた瞬間だった。
真理亜は振り向きもせずにザレムの横をすり抜けて、前を歩く赤いコートの男を追いかけ始めた。
緑の木々の間に、真っ赤な布地は良く見えた。
雪豹の横を駆け抜けた時も、真理亜は脇目もふらずに、ただ足を動かした。
走りだしてから、真理亜の左胸にチクチクと刺すような痛みが走った。
フローが爪を立てた跡が、今になって痛みを訴えだしたのだと、考えた。
それ以上のことは何も考えないように、真理亜はロックと呼ばれた金髪の男を追いかけた。