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一夜の愛、人との愛
第4章 夜9時半のグリーティング
真理亜を支える腕は、思いの外、温かかった。
ふっと遠のきかけた彼女の意識は、頬に感じた鈍い痛みに引き戻される。
(・・・・・・あ)
自室のベッドの上で、闇に紛れるように座り込んでいた気配は、瞬時に真理亜の横に移動すると、倒れかけた彼女を支えた。
彼女の頬を叩いた右手が、首に巻かれたスカーフを引き抜いていく。
「あ・・・」
露わにされた真理亜の喉元が、緊張で強張った。
自分を支えている相手の影に、異様な形を確認したからだ。
ベッドに姿を見つけた時は、暗がりによる光の加減のせいだと思ったが、見間違いでは無かったらしい。
暗がりでも視認できる真っ白な壁に、
真理亜を支える人物の、巨大な翼の影が、くっきりと浮かび上がっていた。
「なんだよ、死ぬかと思った」
低い男の声が、真理亜を揶揄する。
「さすがに、そんな簡単には死なねーか」
はっ、と息だけで笑うと、男は真理亜を改めて立たせる。
電気をつけていない居間だが、レースのカーテン越しに薄っすらと月光が差し込み、目の前の男が黒いシルエットで浮かび上がる。
真理亜は1歩後ずさり、相手と向かい合うと、妙に冷静になって唇を開いた。
「あなた、だれ」
ふっと遠のきかけた彼女の意識は、頬に感じた鈍い痛みに引き戻される。
(・・・・・・あ)
自室のベッドの上で、闇に紛れるように座り込んでいた気配は、瞬時に真理亜の横に移動すると、倒れかけた彼女を支えた。
彼女の頬を叩いた右手が、首に巻かれたスカーフを引き抜いていく。
「あ・・・」
露わにされた真理亜の喉元が、緊張で強張った。
自分を支えている相手の影に、異様な形を確認したからだ。
ベッドに姿を見つけた時は、暗がりによる光の加減のせいだと思ったが、見間違いでは無かったらしい。
暗がりでも視認できる真っ白な壁に、
真理亜を支える人物の、巨大な翼の影が、くっきりと浮かび上がっていた。
「なんだよ、死ぬかと思った」
低い男の声が、真理亜を揶揄する。
「さすがに、そんな簡単には死なねーか」
はっ、と息だけで笑うと、男は真理亜を改めて立たせる。
電気をつけていない居間だが、レースのカーテン越しに薄っすらと月光が差し込み、目の前の男が黒いシルエットで浮かび上がる。
真理亜は1歩後ずさり、相手と向かい合うと、妙に冷静になって唇を開いた。
「あなた、だれ」