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一夜の愛、人との愛
第4章 夜9時半のグリーティング
街灯に照らされた道路を、真理亜は唇を噛み締めて進んだ。
歩いてすぐ、タイル張りのマンションに辿り着く。
いつも確認する郵便受けの前を素通りし、彼女は右の靴を脱いで鞄と共に左手に持った。
右手で手すりを掴み、一気に3階まで上がっていく。
(・・・・・・)
3階で、一瞬、振り返る。
外階段から、マンション前の通りが見える。
不審者は見えないが、彼女は泣き出しそうな表情になると、パッと身を翻して廊下の一番奥、自宅前まで小走りで進んだ。
鞄から鍵を取り出す手が震える。
鍵穴に鍵を突き刺し、カタンと手応えを感じてから、間髪入れずに自宅に飛び込んだ。
(・・・・・・)
電気もつけないまま、後ろ手に鍵を閉めると、持っていた鞄と靴が、玄関に落下した。
背後の扉に体重を預けても、満足に呼吸が出来ず、心臓が激しく胸を叩いた。
急に、右足が痛みを訴えだし、真理亜は強く目を閉じた。
「・・・・・ッ」
立ち尽くしたまま、瞼に力を込めて涙を堪えると、
両手を強く握り、ゆっくりと、室内へ進む。
小さなキッチンと兼用の廊下を抜けて、自室の電気をつけようとした瞬間、
真理亜は、ありえないものを見て、腰から崩れ落ちた。
崩れ落ちかけた。
その彼女の体を、支える腕が、そこにあった―――。
歩いてすぐ、タイル張りのマンションに辿り着く。
いつも確認する郵便受けの前を素通りし、彼女は右の靴を脱いで鞄と共に左手に持った。
右手で手すりを掴み、一気に3階まで上がっていく。
(・・・・・・)
3階で、一瞬、振り返る。
外階段から、マンション前の通りが見える。
不審者は見えないが、彼女は泣き出しそうな表情になると、パッと身を翻して廊下の一番奥、自宅前まで小走りで進んだ。
鞄から鍵を取り出す手が震える。
鍵穴に鍵を突き刺し、カタンと手応えを感じてから、間髪入れずに自宅に飛び込んだ。
(・・・・・・)
電気もつけないまま、後ろ手に鍵を閉めると、持っていた鞄と靴が、玄関に落下した。
背後の扉に体重を預けても、満足に呼吸が出来ず、心臓が激しく胸を叩いた。
急に、右足が痛みを訴えだし、真理亜は強く目を閉じた。
「・・・・・ッ」
立ち尽くしたまま、瞼に力を込めて涙を堪えると、
両手を強く握り、ゆっくりと、室内へ進む。
小さなキッチンと兼用の廊下を抜けて、自室の電気をつけようとした瞬間、
真理亜は、ありえないものを見て、腰から崩れ落ちた。
崩れ落ちかけた。
その彼女の体を、支える腕が、そこにあった―――。