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一夜の愛、人との愛
第6章 黒い地下牢
外観は白く美しい建物の、その地下は光の入らない暗い洞穴になっている。
真理亜の部屋を用意しに行ったはずのコーラルは、今、自分の兄と穢れた天使の会話を見守っていた。
「いい加減、正直に言ったらどうだ」
「知るか。あんな女、お偉い天使長様に浄化してもらって、返してやりゃいいだろうが」
「!」
銀髪の天使が持っていた銀色の槍でザレムの左腕を突き、岩肌に押し付ける。
数歩離れたところで見ているコーラルが、眉を寄せた。
「ってーな。・・・それが長い付き合いの友人にすることかよ」
「俺は慈悲で尋ねている。神格長様のもとへお前を連れて行き、さっさと存在を消滅させることだって出来るんだ」
「じゃあ、そうすりゃいいだろうが! 俺が、いつ、てめぇの都合で動いたよ!」
ザレムが胡座のまま、自分を糾弾する天使を見上げ声を荒らげた。
良く見ると、その体には無数の傷があり、黒い翼も所々が抜け落ち、濡れている。
怒鳴ったことで、どこか傷に響いたらしく、ザレムが顔を歪めた。
「俺は間違ってない・・・!」
「ザレム」
自分の非を認めない男に、コーラルが思わず呟く。
暗がりに響いた己の声にはっとするも、銀髪の天使が静かに振り向いた。
「コーラル、戻っていろ」
「兄さん」
「穢れの名を口にするなと、伝えたはずだ」
冷たい声に、コーラルが眼鏡の中の瞳をもどかしげに揺らす。
真理亜の部屋を用意しに行ったはずのコーラルは、今、自分の兄と穢れた天使の会話を見守っていた。
「いい加減、正直に言ったらどうだ」
「知るか。あんな女、お偉い天使長様に浄化してもらって、返してやりゃいいだろうが」
「!」
銀髪の天使が持っていた銀色の槍でザレムの左腕を突き、岩肌に押し付ける。
数歩離れたところで見ているコーラルが、眉を寄せた。
「ってーな。・・・それが長い付き合いの友人にすることかよ」
「俺は慈悲で尋ねている。神格長様のもとへお前を連れて行き、さっさと存在を消滅させることだって出来るんだ」
「じゃあ、そうすりゃいいだろうが! 俺が、いつ、てめぇの都合で動いたよ!」
ザレムが胡座のまま、自分を糾弾する天使を見上げ声を荒らげた。
良く見ると、その体には無数の傷があり、黒い翼も所々が抜け落ち、濡れている。
怒鳴ったことで、どこか傷に響いたらしく、ザレムが顔を歪めた。
「俺は間違ってない・・・!」
「ザレム」
自分の非を認めない男に、コーラルが思わず呟く。
暗がりに響いた己の声にはっとするも、銀髪の天使が静かに振り向いた。
「コーラル、戻っていろ」
「兄さん」
「穢れの名を口にするなと、伝えたはずだ」
冷たい声に、コーラルが眼鏡の中の瞳をもどかしげに揺らす。