この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第6章 黒い地下牢
冷えた空気の糸を切ったのは、罪人の笑い声だった。

「っはははは。仕方ねーよ、クレイル。そいつは、半人前なんだし? なぁ?」

ザレムの声を無視し、コーラルを見据えたままのクレイルと対照的に、コーラルは空中を睨むと拳を握りしめた。
俯き口端から垂れ落ちる血を眺めながらも、ザレムは言葉を止めない。金色の瞳を細めて地面を強く睨み、歯ぎしりしそうな表情で口を開く。

「そいつだって、あの時、ボーディの間にいれば、俺と同じことをしたさ」

「するわけ無いだろ!」

「コーラル」

ザレムの言い草に反射的に怒鳴り返した弟に、銀髪の天使が静かに声をかける。

「戻れ」

「・・・・・・」

兄の冷静な指示に、コーラルは、数秒抗うように動けずにいたが、やがて黙って頷いた。
立ち去りかける足音に、ザレムが顔を上げ金色の目を細める。

「そんなに半人前扱いがイヤなら、お前が、あの女に確かめてみろよ。どうせ出来っこね、・・・っ!」

言葉は途中から、天使の槍に潰されたが、それでもザレムは挑発的な笑みを浮かべたまま、金髪の天使を見送っていた。





  *  *  *





地下牢から自室に戻ったコーラルが見たのは、自室の寝台で眠る、真理亜の姿だった。

てっきりソファに座っていると思っていたせいか、驚いて一瞬足が止まりかける。

と、彼女の影から白い動物が顔を出すと、音もなく床に降りて天使の足元へ近寄った。

「ありがとう、ルシオ。彼女を守っていてくれて」

細く長い指先で美しい毛並みを撫でてやると、ルシオと呼ばれた白い動物は心地よさそうに目を細め、開いたままのガラスの扉からテラスへと出て行った。
空は柔らかいオレンジ色に染まっている。

コーラルはテラスへのガラス扉を閉めると、天蓋で守られた毛布の中に眠る人間の傍へ歩み寄った。




/226ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ