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一夜の愛、人との愛
第6章 黒い地下牢
思いがけない言葉に、真理亜はおずおずと壁際に寄った。
抱えていたシーツを下に敷いて、足を斜めにすると、石壁に寄りかかって少し俯く。
ちらりと男を見れば、顔を下に向けて再び動かなくなっていた。
(死んでるみたい・・・)
周りに、小さな黒い羽が飛び散っているのが見える。
黒いローブが右肘に引っかかっている。
目を細めた真理亜が、数秒もせず、顔を歪めた。
ローブが開けた上半身に、幾つかの傷跡がある。そこから血が流れた跡がある。
(・・・)
「あまり寄るなよ?」
思わず腰を上げかけた真理亜に、男が声だけで制す。
びっくりして固まった彼女へ顔を上げ、男が右手をあげようとした。
真理亜には何も見えないが、その右手が何かに繋がれているように足の横で引き止められる。
「触りたくなる」
黒い天使が力なく笑った。
「・・・動けないの?」
静かな声で尋ねた真理亜に、ザレムは肩をすくめる。
「鎖で繋がれてる。・・・さっき、忘れて動こうとしたから、すげー痛かった」
その投げやりな口調に、真理亜が悲しげな顔になる。
「その、傷」
不安げな真理亜の声音に、ザレムが自嘲気味に微笑む。
「安心しろ、俺達は簡単に死ねない。お前らと寿命の長さも違うし、耐久力も違う」
「耐久力って・・・」
自分をモノのように例える言葉に、思わず小さく笑う。
(良かった)
どこかホッとしてから、そんな自分の心の動きに戸惑い、真理亜は視線を逸らす。
その様子を見つめていたザレムは、暫く考えてから己の足首に視線を向けた。
「天使は、どうやって生まれるか、知ってるか?」
抱えていたシーツを下に敷いて、足を斜めにすると、石壁に寄りかかって少し俯く。
ちらりと男を見れば、顔を下に向けて再び動かなくなっていた。
(死んでるみたい・・・)
周りに、小さな黒い羽が飛び散っているのが見える。
黒いローブが右肘に引っかかっている。
目を細めた真理亜が、数秒もせず、顔を歪めた。
ローブが開けた上半身に、幾つかの傷跡がある。そこから血が流れた跡がある。
(・・・)
「あまり寄るなよ?」
思わず腰を上げかけた真理亜に、男が声だけで制す。
びっくりして固まった彼女へ顔を上げ、男が右手をあげようとした。
真理亜には何も見えないが、その右手が何かに繋がれているように足の横で引き止められる。
「触りたくなる」
黒い天使が力なく笑った。
「・・・動けないの?」
静かな声で尋ねた真理亜に、ザレムは肩をすくめる。
「鎖で繋がれてる。・・・さっき、忘れて動こうとしたから、すげー痛かった」
その投げやりな口調に、真理亜が悲しげな顔になる。
「その、傷」
不安げな真理亜の声音に、ザレムが自嘲気味に微笑む。
「安心しろ、俺達は簡単に死ねない。お前らと寿命の長さも違うし、耐久力も違う」
「耐久力って・・・」
自分をモノのように例える言葉に、思わず小さく笑う。
(良かった)
どこかホッとしてから、そんな自分の心の動きに戸惑い、真理亜は視線を逸らす。
その様子を見つめていたザレムは、暫く考えてから己の足首に視線を向けた。
「天使は、どうやって生まれるか、知ってるか?」