この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第6章 黒い地下牢
「誰も、いないの?」

小さな声で尋ねるが、反応は無い。




徐々に闇に慣れた目が、洞穴の奥に大きな岩のような塊を見つける。

(?)

ゆっくりと歩く彼女の髪が、ふわりと波打った。




直後―――。




「ッ!」

「きゃっ!」





塊が突然動き、洞穴内にビリビリと衝撃が走った。

突風に煽られたような勢いに、真理亜が岩場に尻をついて転ぶと、塊が顔を上げたのが見えた。





「ザレム?」





真理亜の声に、闇の中で、金色の目が光った。





「女か」





冷たい声に、真理亜がシーツを抱く腕に力を込める。

転んだ拍子にぶつけた臀部が、鈍く痛みを訴えている。

塊から3メートルほどの距離を置いたまま、彼女は気配を伺った。

金色の瞳がチラリと真理亜の後ろを見やる。

背後の廊下、松明に照らされた、その場所をじっと見据えてから、彼は彼女に視線を戻した。

「とっくに浄化されて戻ったと思ったら、まだいたのか」

掠れた声が、暗い空間に響く。

「で? 何してる」

尋ねる声に、真理亜は答えられず、足を自分に引き寄せ体を小さくした。

その様子に、ザレムが鼻を鳴らす。

「そそる匂いがするな。俺を慰めに、誰かがよこしたとかか?」

笑い混じりに言って、ザレムは血がこびりついた唇の端を舐めた。

無言のまま自分を警戒している真理亜に、胡座を欠いていた足を組み替えて、首を軽く回す。

「コーラル辺りに襲われたか」

「!」

「図星か」

息を飲む真理亜を、あざ笑うこともなく、男はひとつ息を吐く。





「好きなだけ、そこにいればいい」





「え」





意外な言葉に、真理亜が思わず声を上げる。





「お前の存在は、俺達には麻薬みたいなもんだ。そこにいた方が、まだ安全だ」







/226ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ