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一夜の愛、人との愛
第7章 魂の色



―――天使は、どうやって生まれるか、知ってるか?




不意の言葉に、真理亜はザレムへ目を向けた。
俯く彼は、真理亜の返事を待たずに、静かに言葉を紡いだ。


「天使に女はいない。全ての天使が男だ。俺達は寿命が長いし、罪を犯して”穢れ”にならなければ、消滅することも無い。だから、そもそも、新たな命が必要になることも少ない」


言われて気付く。
この建物に来てから、出会う天使が皆、男だったことに。


「それでも、罪を犯して消滅せざるを得ない天使が出てくることもある。それに、俺達の使命は膨大だ。人間の世界を見守るだけじゃない。他の星の生物を統率することもあれば、惑星の動きを管理することもある。風、水、植物、それらの動きを見守り、多くの種族が永く生きながらえるように保護したり、している」


ザレムが一度、言葉を止めた。
その目が、ゆっくり真理亜を捉える。


「だから、新しい天使が必要になることがある。そんな時に、天使は人間に会いに行く」


「え・・・」


「天使の子供を埋めるのは、人間の女だけだ」


視線が絡みあい、一瞬、時が止まった。


言葉を失った真理亜に、ザレムが軽く笑った。


「安心しろ。お前に俺の子供を埋めなんて、言いださねーよ」


「・・・」


ふっと緩んだ空気に、真理亜が思い出したように呼吸を取り戻す。


「それに、今の俺は、お前に子供を産ませることは出来ない」


「”穢れ”だから?」


「いや・・・、違う」


いつの間にか、真理亜は石壁から背中を離し、ザレムの方へ乗り出していた。





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