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保健室は絶対領域
第10章 密会
―――フランス パリ郊外墓地
「父さん…母さん…」
小雨交じりの冷たい空気の中、小さな墓石の前で佇むカイは呟いた。
傘も持たないので、服に雨が染み込み身体を重たくする。
金色の前髪からは、ポタポタっと水滴が落ち地面を濡らしていた。
(あの日もこんな天気だったな…)
カイは、思い出すように灰色の空を見上げる。
その時、静かな墓地に車が停車する音が響いた。
車の中から降りた初老の紳士が、傘をさしてカイに近づいてきた。
「危ないところだったな。」
「はい…なんとか…」