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第16章 秘密

―――都内某所

高級クラブVIPルーム


「お義父さん、桜子との婚礼ですが、今年中に早めて頂けないでしょうか？」

「良斗君、いったいどういう事だい？」


「母と二人きりだったせいで、早く桜子と温かい家庭を作りたいんです。そして、お義父さんにも孫を抱かせてあげたいですし。」

良斗は、早く桜子と結婚し、子供を作ることで自分の地位を確実なものにしたいだけだった。

「君の気持ちもわかるが、こちらにも準備というのがあるんだよ。」

この男が何か企んでいるのは、正造にはお見通しだった。


「お義父さん、十勝平野に別荘をお持ちなんですね？」

良斗は冷笑を浮かべた。