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だって可愛いから。
第6章 新たな主
時間きっかりに、真っ黒な車が着いた。
きょうすけが覗き込むように窓を見やると、助手席の窓をが下がった。
タバコの香りが鼻を掠めた。

あの タバコの香りが。
車に近寄り、運転席を見ると錦が手招いていた。
きょうすけはドアを開けて、失礼します、と小さく言うと助手席に腰を下ろした。
「シートベルト」
「あ、ハイ!」
慌ててベルトを締めた手を、錦の左手が掴んだ。
「本当にいた。馬鹿だな。」
「っ…だって、下にいろって…」
「まぁいい。話は落ち着いてからだ。」
乱暴にきょうすけの手を離すと、それ以上は何も言わずに車を走らせた。
きょうすけはそわそわしながら、窓の外を眺めてやり過ごそうとした。
時折視線を錦に向けたが、無表情で前だけを向いていた。
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