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だって可愛いから。
第7章 満たして
錦はため息をつくとひっぱたいた頬をさすってやった。
大事な客をバカにした態度に大人気なく手が出てしまった。
「すまない。ここにいる皆様は俺にとってとても大切な人ばかりなんだ。安心してお前を渡せるんだよ。」
きょうすけは涙を零した。
本当は錦が良かった。それを自覚してしまったから。
「ぜひ、その子をいただきたいわ。」
静まり返った会場に女性の声が響いた。
錦はその声の主を探していると、スッと手が上がる。
「凛(りん)様。どうぞこちらに、」
錦は凛を、ステージへ招いた。
まだ、なみだを流すきょうすけの顎に指を添えて上を向かせると、その顔をじっくりと見た。
「可愛い顔ね。目も綺麗。…泣いている表情も悪くないわ。」
顔の次は身体だ。手袋を外して品定めをする。
喉から鎖骨、背中…順になぞる。
「…っ!」
くすぐったさと恥ずかしさに息がつまった。
「感じやすいのね。…んー…この子がもっと感じてる所を近くで見たいわ。丁度錦さまも途中でしたし…いかがかしら?」
凛の提案に。錦は頷いた。
「喜んでお見せしましょう。」
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