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雨 ─ 超短編集 ─
第2章 窓
窓の外。
そこに見えるのは隣の家の窓。

手を伸ばせば届きそうな距離。

でも、届かない。


私の想いも、届かない。


窓を開けて
カーテンも開けっ放しで

ふわあっと風が部屋を通る。

降り始めた雨粒がガラスをたたきはじめ、開け放した窓から降り込む。

東からの雨は、彼の部屋には降り込まなくて、惨めな私の部屋だけ濡らす。

少しでも、彼を感じたくて開け放している窓。

声。
気配。
匂い。

それらを一瞬でも感じることが出来た日は幸せだった。


でも、もうそれも終わり。


明日、彼は結婚する。
私とは違う他の誰かと。

このまま嵐になればいい。
結婚式なんて滅茶苦茶になればいい。

黒い雲が空を覆う。

風が舞い、大粒の雨が地上の全てを叩きのめすかのように降る。

見る見るうちに水溜まりが流れにかわり、塵も埃も路上のゴミも流されていく。

雷鳴が響き渡り、稲妻が走った。


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