この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
雨 ─ 超短編集 ─
第2章 窓
誰かが階段を上がってくる。
お母さんに泣いてるとこ見られたら、いろいろ聞かれそうで、急いで布団を頭から被った。
「美優」
聞こえてきたのは、お母さんの声じゃなくて、彼の声だった。
「美優、お前勘違いしてる。」
走ってきたのか、少し乱れた息を吐きながら彼が言う。
「結婚するのは、直樹だ。」
直樹…?
「聞こえてるか?明日、結婚するのは俺じゃなくて、な・お・き!」
嘘…
「だって!
直樹はまだ大学生じゃないっ!」
「やっぱ泣いてた。」
がばっと起き上がった私を見て、ふ、と笑った彼が私を抱き締めた。
「"できちゃった"んだってさ、あいつ。兄貴の俺差し置いて、先に結婚って生意気だろ?」
くすくすと笑う声が耳元で聞こえる。
「ほんとに?雅樹じゃなくて、直樹が結婚するの?」
「ほんとほんと。俺は素直じゃない誰かさんのことが気になってしょうがないし。」
「雅樹が結婚するわけじゃないんだね?」
「しつこいよ?」
「…ごめん。」
力が抜ける。
なんだ……
よかった……よかった…
泣き出した私を彼がぎゅうっと苦しくなるくらい抱き締める。
「お前、俺の気持ち全然わかってないだろ。」
「え?」
お母さんに泣いてるとこ見られたら、いろいろ聞かれそうで、急いで布団を頭から被った。
「美優」
聞こえてきたのは、お母さんの声じゃなくて、彼の声だった。
「美優、お前勘違いしてる。」
走ってきたのか、少し乱れた息を吐きながら彼が言う。
「結婚するのは、直樹だ。」
直樹…?
「聞こえてるか?明日、結婚するのは俺じゃなくて、な・お・き!」
嘘…
「だって!
直樹はまだ大学生じゃないっ!」
「やっぱ泣いてた。」
がばっと起き上がった私を見て、ふ、と笑った彼が私を抱き締めた。
「"できちゃった"んだってさ、あいつ。兄貴の俺差し置いて、先に結婚って生意気だろ?」
くすくすと笑う声が耳元で聞こえる。
「ほんとに?雅樹じゃなくて、直樹が結婚するの?」
「ほんとほんと。俺は素直じゃない誰かさんのことが気になってしょうがないし。」
「雅樹が結婚するわけじゃないんだね?」
「しつこいよ?」
「…ごめん。」
力が抜ける。
なんだ……
よかった……よかった…
泣き出した私を彼がぎゅうっと苦しくなるくらい抱き締める。
「お前、俺の気持ち全然わかってないだろ。」
「え?」