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TABOO
第4章 未来へ
そして通帳を美砂に渡し、



『100万入ってるから生活費のたしにしてくれないか。
足りないお金はまた振り込むから。
慰謝料の事もあるから
居場所だけは、
落ち着いたら知らせてくれないか…?
……美砂……』



『慰謝料なんて……貰う資格ないわ。』



『……美砂?……
俺も浮気してたんだよ?
そのぐらいはさせてくれ』



『……でも……』



『……いいから……あと相手の男とは、ちゃんと話しあえよ?』



『……彼には……
言わないで別れるわ。
子供は一人で育てて行く……』



『どうして…?』


『まだ若い人なの。だから……』



『おまえ一人で、
平気な訳ないだろう?
何かあったらすぐに俺に言えよ?』



『……有難う……』






『……美砂……
愛していたよ……』







『……私も……
愛していたわ……』






美砂は部屋に戻り
荷造りを始めた。
夫の最後の優しさが美砂には嬉しかった。



それと同時に
二人の積み重ねた歴史が、こんなに簡単に
終わるものなのかと思うと、
涙が押し寄せてきた。







……レイ……







……さようなら……






と、呟きながら……



ーーー
ーーーー
ーーーーー



次の朝……夫は当たり前のように、
仕事に行く。
美砂に深々と
おじぎをして……



二人にとって、
最後の朝だった……


予定通り朝から、
美砂は不動産巡りをする。



その日は美砂は
ホテルに泊まる事にした。明日の朝
不動産巡りをする為だ。
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