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不条理な世界に、今日も私はため息をつく
第2章 コンビニはどこですか

今後の日常より、現状の打開策を。
所持品は、スカートのポケットの中にある1シートの鎮痛剤だけ。
「これでなにを?」
重い生理痛には必需品。
だが不可解にも今、綺麗さっぱり不快感すらない奇跡の生理体験をしているあたしにとっては、あまりに無用の長物だった。
つまり、鎮痛剤はこのサバイバル環境には役立たずで、腹の足しにもならねば、無理に飲んでも胃腸をやられる悪物だ。
それよりも切に欲しいのは、生理用品。
鳥取砂丘に、コンビニはない。
「砂丘店はどこだ~!!」
……あっても、買う金もないのだけれど。
徒労と思えど、あたしは歩いた。
ぜぇぜぇはぁはぁと、傍目では年寄りゾンビの徘徊だ。
どこまでも変わり映えのない砂漠地帯が続く。
「喉……乾いた……」
ばたりとうつぶせに倒れ込み、お約束のように熱砂の温度に驚いて飛び起きる。
そんな時だった。
あたしの頭上に、不穏な黒い影が過ぎったのは。
雨雲でも出てきたのかと、思わず仰ぎ見れば――。
「!?」
茫々と不揃いの毛が生えた……パグのようにぐちゃりと潰れたような、なにか茶色い大きなものがひくひくと動いていたのだ。
「なななな、なに!?」
まるでB級ホラーに出てくるような怪物。
動転したあたしは、悲鳴を上げて反射的に立ち上がってしまった。
ゴツ~ン。
あたしの頭がそれのどこかにぶつかったようで、重々しい音をたてる。
昔から石頭で有名なあたしには、さしたるダメージはない。
恐る恐る……音沙汰ない怪物を見てみた。
両横に挟むようにある黒いものが、忙しくくりくりと動いており、そして奇声を発したのだ。
「ンゴォォォォォ!!」
まるで豚の鳴き声のような重低音を。
あたしは息をするのも忘れて青ざめた。
これが噂のUMA(未確認動物)か!?
鳥取砂丘に、UMA出現か!?
それは横向きに倒れ、大仰なダメージ反応を示している。
UMAに効果があるのか、あたしの石頭!
「ンゴォォォォォ!!」
そしてあたしは――仰け反り気味に、苦しみにもがくように四肢らしきものを動かすそれの、正体を知ることになる。
これは――。
UMAではなく、RAKUDAだ。

