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不条理な世界に、今日も私はため息をつく
第1章 破談になりました
1.悪を挫き、弱きを助け、
2.己が英雄であることを世に隠し、
3.敵より前に現われてはいけなく、
4.現われる際は、敵より高い位置から自らの登場を主張し、
5.可及的速やかに、敵を倒す。
6.全世界の誰もから、賞賛される強い存在でなければならない。
どうだ。英雄の六か条。
それを打ち込んだ。
「そして結びの言葉……と。"英雄とは、経験に基づく溢れんばかりのセイギに……」
変換する前に、どこかのボタンを押してしまったのか、突然"送信中"の文字に切り替わってしまった。
「まあいい、意味は通じるだろう。さあ、どうだ?」
メールが来た。
内容は……。
『条件を受理しました。ただいま検索中なので、少々お待ち下さい』
「受け付けるの!?」
平然と受け取れるあたり、もしかして機械の自動受付なのかも知れない。
そう思ったら、なんだか消沈してしまった。
なんだか空しくなってきた。
もっともっと困り果てたひととしての反応が欲しかったのに。
そうだよね、合理的な機械化が進む日本では、それが普通だよね。
「だけど見つけてこれねば、1億円……」
そうだ。
これからが勝負じゃないか。
さあ、自信満々な運営さん。どうする?
あたしが100%満足できる、これら理想(妄想とも言う)像を現実的に呈示できるねかね?
そんな相手を紹介して、大恋愛の末に結びつけてくれるのかね?
支配者か、英雄か、王族か。
それだけでも完全アウトじゃないかね?
そんなの日本の何処にいるのかね?