この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
白雪姫にくちづけを
第18章 浩巳の憂鬱
案の定、11号館の一画には、数人の女子の群れが出来ている。
(ほ…ほんとに、この中に浩巳が?)
恐る恐る、集団の隙間から中を見ようとすると…
ぐいっ
横から腕を掴まれた。
『あ、浩巳!』
『しっ!とりあえず出よう。』
浩巳と3人は、賑わう11号館を後にした。
浩巳の話によると、やはり先ほどの女子達は、浩巳を囲っていたらしい。
仕方なく逃げてきた11号館に、もう1人、標的なる人物がいたらしく、うまくそちらにギャラリーを押しつけたんだとか…
『初めて来たけど、大学ってうるさいんだな。読書もできなかったよ。』
(普通はそんなことないんだけど…)
コソ
『あずさ、紹介してよっ!』
あずさに耳打ちする梨々子に、浩巳が目を向けた。
『あ、あずさの友達か。はじめまして、遠藤です。』
浩巳は立ち止まって頭を下げた。
『(ウチは一度会ってるんだけど…)梨々子です。』
『はじめまして、芽衣です。あずさちゃんが、いつもお世話になってます。』
浩巳はそれ以上話さなかったが、門のところまで4人一緒に歩いた。
すると、すれ違う人達が、なんとなく振り返っているのが あずさにも分かった。
(やっぱ浩巳は、目を引くんだなぁ〜)
のん気に思うあずさだったが、梨々子と芽衣は気づいていた。
コソ
『ねぇ梨々子ちゃん…浩巳くんさ…』
『うん…何か、目に入る男の人全部、ニラんでるって感じ…?』
(どいつもこいつも、変な目であずさを見やがって…こんなトコに毎日あずさは来てんのか…危険すぎる。)
浩巳の男子大学生への厳しい視線は止むことなく…大学を出るまで、無言で威嚇し続けていた。