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白雪姫にくちづけを
第18章 浩巳の憂鬱
『浩巳、どうかしたの?』
『……。』
『浩巳?』
『ん、何か言った?』
梨々子達と大学で別れた後、あずさと浩巳は、大学近くのカフェに来ていた。
大学を出てから浩巳はうわの空で、あずさの話はさっきから宙に浮いたままだ。
ズーッ…
氷だけになったフルーツジュースをすすって、あずさは席を立った。
『もう行こ。浩巳、このあとバイトでしょ?』
『え?あ、うん。』
浩巳を待たずにレジへ歩いていくあずさの姿に、彼は慌ててついて行く。
『………。』
『あずさ…』
『………。』
『…ね、そんな怖い顔してないでさ、こっち向いてよ?』
『………。』
『あずさぁ〜〜』
(ふん。
何だか知らないけど、ずっと考えごとしちゃって。
全然、話、聞いてないんだから!)
浩巳の態度に腹を立てたあずさは、ずんずん歩いて行く。
カフェを出てから、ずっと2人はこの調子だ。