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白雪姫にくちづけを
第18章 浩巳の憂鬱
『ごめんってば!ちょっと考えごとしててっ…な、何の話、だったっけ…?』
『知らない。』
『〜〜〜!』
あずさは、ちょっと頑固だったりする。
そんなやり取りを続ける中
あっという間に、あずさのアパートまで着いてしまった。
『あずさ、バイト終わったら寄っていい?』
『入れてあげるかどうか分かんない。』
プイと顔を背ける姿は、怒っているというより、拗ねているだけに見える。
(可愛いな…)
クスッと笑えて、浩巳は彼女の頬へ顔を寄せた。
チュッ
『じゃ、また後でね。』
『も、もぉー//!』
背後から聞こえる『行ってらっしゃい!』の言葉に手を挙げて、浩巳はあずさの部屋を後にした。
アパートの敷地を出る所で、見た顔の人影に出くわす。
『お、えーと…浩巳くんだっけ。』
『…遠藤です。』
それはかつて、あずさの大学の友人だと説明された男。
『あずさに用だったのか?』
『………。』
彼の問いには答えず、浩巳はバイト先へ向かった。
(あいつ…確か「カズヤ」…だったか?)
浩巳は二度、カズヤの姿を目にしている。
いずれも、あずさと付き合う前の事だが、浩巳の中で彼の印象は悪い。
(そもそも、第一印象が気に食わなかった…)
『お疲れさまです。』
浩巳は不機嫌に、バイトを開始した。