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白雪姫にくちづけを
第18章 浩巳の憂鬱
『はぁ…』
(なんで、おれは年下なんだよ…)
大学へ行った後から、この考えが頭の中でぐるぐるしている。
出来るなら、毎日側にいたい。
おれがあずさと同じ大学生なら、もっと心に余裕ができたんじゃないだろうか?
たった2歳差。
でもおれは、先ゆく彼女の2年を知ることができない。
大学だってそう。就職したってそうだ。
おれが彼女に追いつくことは出来ない。
───「未成年」───
以前、母さんに言われた言葉も引っかかっている。
さっさと大人になって、あずさのこと堂々と守れるような存在になりたい。
*** *** ***
『遠藤さん、レジ代わりますよ。』
『あぁ、お願いします。』
『あと店長が、裏に置いてる旅行雑誌、明日から並べてくれって。』
『分かりました。準備しときます。』
(まだ夏真っ盛りなのに、もう秋ものの特集か…)
裏で陳列準備をする浩巳は、その一冊を手に取る。
(そういえば、あずさの誕生日は冬だっけ。)
先日、自分の誕生日が発覚した際に、彼女の誕生日も聞いておいた。
(誕生日って…どんなことして祝ってやったらいいんだろう…?)
家族の誕生日以外、祝福した経験のない彼には想像もつかない。
(旅行…とか、喜ぶんだろうか…?)
まだ何ヶ月も先にも関わらず、浩巳は頭を捻る。
(とりあえず、反応見てみようかな…)
浩巳は旅行雑誌の一冊を、バイト帰りに購入した。