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白雪姫にくちづけを
第3章 距離《あずさside》
『ごちそうさまでした!
すっごく、おいしかった~~♪』
『ふふふ、おそまつさま。お茶入れるわね。
それにしても、すっかり大人の女性になっちゃったね、あずさちゃん。』
『そんなことないです。
見た目は大きくなったけど、家事は苦手だし、女としてまだまだです。
あ、片付け手伝います!』
明るい性格のおばさんとは、すぐに会話が弾んだ。
でも、、、
浩巳くんとは食事中も、ロクな会話ができなかった。
どうやら、おばさんの策略?で、
あたしが今日ここに来ることを、彼は直前に知らされたらしい。
玄関での呼びかけを最後に、浩巳くんは目を合わせようとしてくれない。
(名前を呼んでくれたから、覚えてくれてたのかと思ったけど、そうでもなかったのかな?)
浩巳くんは食事を終えると すぐに席を立ってしまい、少し離れた場所で一人、テレビを見ている。
(もしかして、あたしの言動で何か嫌なことがあったのかも…それで怒ってるとか??)
ヒソ…
『ごめんね、あの子、突然のことで緊張してるんだと思うのよ。私も意地悪がすぎたわね。』
お皿を拭くあたしに、そっとおばさんが耳打ちする。
『安心して。あの子、もともと無愛想だし、あずさちゃんのせいであんな態度な訳じゃないから。』
『え…//』
(な、何で分かったんだろう。あたしの考えてたこと//)
おばさんの的を射た返答に、思わず口ごもってしまった。
『どうも男って、肝心なときに動揺が隠せない生き物よね。』
(なんだか、おばさんには全部見透かされちゃいそうだなぁ。)
おっとりした性格のうちの母にはない、
カンの鋭さを目の当たりにして、あたしは内心驚いた。