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白雪姫にくちづけを
第3章 距離《あずさside》
片付けを終えたあたしに、おばさんはお盆を渡してくれた。
(あたしが持ってきたカステラ、切ってくれたんだ。浩巳くん、食べてくれるかな?)
2人分の紅茶とカステラを乗せて、浩巳くんの元へ運んだ。
意を決して話しかけてみる。
『大したものじゃないけど、よかったら。』
さり気なく顔をのぞき込んでみたけど…
『ああ、いただきます。』
彼との視線が交わることはなかった。
(…やっぱりダメか。
にしても、浩巳くんはキレイな顔立ちしてるんだよね…
思いもよらずイケメンに育ってて、それだけでこっちは話しかけづらいのにな。)
意気消沈した あたしも、カステラに手を伸ばす…
(あれ?ない?)
そこでようやく、浩巳くんと目が合った。
『『あ』』
あたしのカステラは、ちょうど彼のお腹に入った所だった。
『ご、ごめん。ボーッとしてた。』
『い、いいよいいよ!お土産なんだし、あたしは結構お腹いっぱいだから。』
『………。』
『………。』
(うっ…こんな空気耐えられないよ。何か会話…!)
『…ねぇ、もしかして甘いの、好きなの?』
『ん、うん。』
『あはは。やっぱり!
無くなるの早かったなって思って。』
『まだイケるよ。あと5切れくらい。』
『それは食べすぎ!』
お互いやっと声を出して笑いあう。
何となく穏やかな雰囲気になったところで
おばさんがあるものを持ってきた。
『ふふ、楽しそうね。
せっかくだから、3人で見ない?』
それはアルバムだった。