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白雪姫にくちづけを
第20章 海
ザーン…
ザザーーーン…
『翔平っ!足がつかないとこまで行っちゃヤダよ!』
『はは…まだ全然浅瀬だよ。もう少し行った方が、波が穏やかになるよ?』
大きな浮き輪にしがみついた梨々子を、翔平が沖へ連れて行く。
足がギリギリつかない位まで泳ぐと、翔平は海岸を振り返った。
『波で押し戻されていくから、すぐ足つくようになるよ。』
『岸まで遠くない?!』
もっと沖では人影が少ないが、梨々子達の周りには高校生やら大人やら、たくさんの人がプカプカ浮いたり、泳いでいたりする。
ざぷんっ!
不安がる梨々子の側にいた翔平が、突然、視界から消えた。
『翔平っ?!やだどこっ……っひゃ?!』
『ぶはっ!』
翔平が顔を出したのは、梨々子の真後ろ。
浮き輪の中に潜り込んだ彼は、梨々子の背後にピッタリくっついて浮いている。
『これなら怖くないかなって思って。』
濡れた髪をかき上げて目を細める彼の姿に、梨々子は赤面する。
『う…///びっくりしたよ!急に潜るんだからっ!』
まんざらでもないような彼女の様子に、翔平は柔らかく微笑む。
『驚かせてごめんね?』
逞しい彼の肉体を背中に感じ、梨々子は怖さよりも ときめきに胸の鼓動を高鳴らせはじめた。