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白雪姫にくちづけを
第20章 海
ザッサッザッザッ…
『絶対!ヤダ!!』
『梨々子、観念しろよ。もう6人分、金払ったから。』
『やだやだやだー!』
抵抗する梨々子の腕を掴んで、カズヤはどんどん進んでいく。
『翔平!ウチこんなの無理!』
『りりちゃん大丈夫。胴衣つけるから、放り出されても溺れないからね。』
(…翔平さんの笑顔が恐い。)
カズヤの提案で、バナナボートに乗ることになった彼らは、順番待ちの列に並んだ。
『りっちゃん、無理しない方が…こんな嫌がってるんだから、5人で乗ればいいんじゃないの?』
『大丈夫、楽しいから!』
カズヤに話しかけると、横から爽やかな翔平の笑顔と言葉が飛んできた。
『うぅ…自分が海好きだからって、テンション上がってるんだよ。こうなったら、優しい翔平はもういなくなるんだ…』
観念したのか、あずさにしがみつきながら、梨々子が漏らす。
『…はぁ。』
その隣で、重いため息が漏れる。
『ひ、浩巳も…無理しないで見学にする?』
『…別に。』
団体行動の苦手な浩巳は、あずさの目には既に疲弊しきったように見えた。