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白雪姫にくちづけを
第20章 海
『あずさは乗ったことあるの?』
『ううん、無いけど…楽しそうだなって思ってた//』
『はは、あずさは好きそうだね。』
あずさに向けられた浩巳の笑顔に、脇から覗きこむ梨々子はニヤリと目を細めた。
ぐいっ!
『わわっ…何!りっちゃん、どうかした?』
『浩巳くん笑ってるの初めて見たよ。あずさ…愛されてるね♡』
『えぇ?!もぉ〜〜!//』
『ちょっと愛想ない子なのかと思って心配したけど、あずさにだけ甘々じゃない!妬ける〜。』
『もー///』
背後から聞こえる彼女達の会話に耳を傾けながら、カズヤは遠くを見つめた。
(はぁ…結構キツいな。)
しばらく梨々子があずさをからかっている間に、とうとう順番が回ってきた。
『じゃ、背の低い2人から前に。』
係りの人に誘導されながらボートに跨がる。
右側の先頭から
あずさ、浩巳、カズヤ
左側の先頭から
芽衣、梨々子、翔平
『じゃー激しめと手加減気味と、どっちにしましょうか?』
『手加減で!』
『激しめで!』
前方のウォーターライダーの問いかけに、梨々子と翔平は同時に声をあげた。
『手加減で。』
顔を見合わせる梨々子と翔平に代わり、浩巳があっさりと言い放つ。
『どっちにしても振り落とすんだろーけど。』
ボソッと呟いた浩巳の声は、前にいる あずさにだけ届いた。
(確かに、それが醍醐味だもんね…)
ふと、あずさが隣を見ると、目を輝かせる芽衣の姿があった。
『わくわくするっ…!』
あずさは以前見た、芽衣の演劇終わりのハツラツとした笑顔を思い出した。
(芽衣ちゃんは、体動かすの好きなんだったな…)
『じゃ、行きますよー!楽しんでねー!』
『『イェーイ!』』
『ぎゃあぁぁぁ』
『『きゃーっ』』
『………。』
それぞれの思惑を乗せて、バナナボートは発進した。