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白雪姫にくちづけを
第21章 敵わない相手
『じゃあ、チーム分けはグーパーで!』
『二対二で、審判は交代だな。』
梨々子とカズヤの取り仕切る中、ビーチバレーの予定が組まれた。
『元気だなぁ、りりちゃんは。』
『自分が泳ぎたくないからだよね、あれは。』
翔平の言葉に、芽衣が小さく漏らす。
『梨々子ちゃんはお祭りとかイベントとか…賑やかな行事が好きだからね。
お友達と海に来れて、嬉しいんだと思うよ。』
芽衣の言葉が聞こえたのか、翔平は芽衣とあずさに向かって優しくほほ笑んだ。
(翔平さんは、りっちゃんのことよく分かってるみたい。目に見えない包容力っていうか…何だか素敵だなぁ)
『みんなーチーム分けするよー!』
梨々子の号令で始まったビーチバレー。
6人全員で楽しめるとあって、なかなかの盛り上がりを見せていた。
『…あ、ねぇ!』
ふと、芽衣が遠くの海岸を指差す。
何やら人だかりと、忙しなく駆けつけていく人達の姿が見えた。
『救助じゃないか?ライフセーバーだろ、走ってるの。』
カズヤの言うとおり、ここからは遠いが、慌ただしい雰囲気が見て取れる。
『誰か溺れたのかな…?』
みんなでその様子を眺めていると
『子供が溺れてるぞ!』
すぐ側で、叫ぶ人の声が聞こえた。