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白雪姫にくちづけを
第21章 敵わない相手
『大変!ライフセーバーは?!』
この辺りにも、監視台はある。
しかし、向こう側の被害が大きく応援に行ったのか、近くにライフセーバーの姿がなかった。
見ると女の子が、海でもがいている様が目に入った。
『誰か!誰か助けて!!!』
母親らしき女性が悲痛に叫ぶ声が響く。
『……えっ!翔平?!』
梨々子が気づいた時には、翔平は現場へ駆け出していた。
『借ります!』
翔平は、近くにいた人から浮き輪を奪い、一目散に海へ飛びこむ。
『がぼがぼぼぼ…』
『掴まって!』
目の前に差し出した浮き輪にも、捕まる気配がない女の子。
(だめか!)
翔平は素早く女の子の後ろに回り込んで、浮き輪をかぶせた。
岸まで運び、すぐさま人工呼吸を始める。
ちょうど同じ頃、遠くで救助を終えたライフセーバー達が、大急ぎでこちらに駆け寄ってきた。
『げぼっ!げほっげほ…』
女の子は、一命をとりとめた。
『ありがとうございます!!』
母親らしき女性が、涙を流しながら彼に頭を下げる。
『後はお願いします。』
ライフセーバー達に女の子を預け、翔平は5人の元へ戻っていった。