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白雪姫にくちづけを
第22章 翔平×浩巳×カズヤ
『なかなか素直じゃん!』
驚いた浩巳は、咄嗟にカズヤの手を払いのける。
『素直なままに、最善を尽くせ!』
ニカッと笑うカズヤに、浩巳はため息を漏らす。
『…言ってる意味が分かりません。』
『あはは!そりゃ急いでる時には分かんないよ。
大方、翔平さんに憧れたんだろ?
あんなカッケー大人見たら、誰でも憧れるよな。』
カズヤはグビグビとビールを飲み干した。
『でも、あずさが好きなのはお前だ。
自信持てよ、大事なのはそれだけなんだ。』
『………。』
『例えばさ。お前があずさと同い年だったとしても、どうせライバルはいたと思うぜ?年の差なんて、一つの事実にしか過ぎないんだからな。』
『………。』
一向に曇った表情のままの彼を見て、カズヤは大きく息を漏らした。仕方ない…と言った風な口調で告げたのは
『あー……
まぁとりあえずな、キスしてこい。』
そんな言葉。
『は?』
『いやほら…こーいう弱気になってる時は、面倒な話はあとあと!な!』
(口で言って分かんねーんだから、それしかねーだろが!何でおれが…お前らのチューを勧めなきゃいけないんだよ…)
カズヤにとっては大真面目なこの言葉も、浩巳には神経を逆なでする材料でしかない。
(家光さんの言葉に流された。
この人はやっぱ、おれの尊敬に値しない…)
浩巳が立ち上がろうとした時、カズヤの手招きに気づいた あずさが、側にやって来た。
『どうしたの?』
何も知らない あずさは、笑顔を向ける。
『線香花火。あんまり数ないから、こっそり2人でやってきたら?あの辺の岩陰にでも隠れてさ。』
カズヤはそれだけ言うと、浩巳の肩を叩いて、芽衣と梨々子の方へ歩いて行った。
(はあぁ?何なんだよ一体…)
『やった!あたし線香花火好きなの。早くあっち行こ?』
無邪気に笑うあずさに、浩巳は気を取り直してついて行った。