この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
白雪姫にくちづけを
第23章 翔平×梨々子*
『面白くないでしょ?』
(あずさのこと、言ってるんだな…)
『…まぁ、仕方ないよ。おれは彼氏じゃねーから。』
───「とりあえず、キスしてこい。」
けしかけたのは自分なだけに、虚しさのやり場がない。
(まぁでも…浩巳くんが歩み寄ってきてくれただけで満足かな。やっぱ弟みたいだったし…)
背伸びしたいような浩巳の悩みは、カズヤを優しい気持ちにさせた。
(情ができたところで、おれも潮時だ。やっと諦めつけれそーかも…)
『彼氏彼女ってそんなに楽しい?』
細くため息をつくカズヤの横で、
芽衣は花火を見つめながらつぶやいた。
『あたしには分からないな…
友達と遊ぶのが、こんなに楽しいから。』
『まぁ…友達といて楽しいのは皆一緒だろ。
プラス、もっと近くて甘えられる存在が…恋人なんじゃね?』
(なんかおれ、人の悩み相談ばっかなんだけど…)
『それって、犬じゃダメなの?』
(……はい??)
『………別にいいんじゃない?』
『なるほどねー!あたしにとっては愛犬が彼氏みたいなもんか!超甘えんぼだし♡確かに、2人きりの世界に入る気持ち、分かるかも!そっか〜♪』
『…芽衣。』
『ん?』
『お前、一生結婚できなさそう!』
『なにー!』
『どぅわアチチチチチ!ばか!危ねーだろが!!』
悩める少年と、それを取り巻く
恋慕、嫉妬、失恋、友情、…
寄せては返す波のように彼らの中に満つる感情、引きつ想い。
様々なシナリオを描いた長い一日は、それぞれに終わりを告げたのだった。
ザザァァーーーン…