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白雪姫にくちづけを
第23章 翔平×梨々子*


『面白くないでしょ?』


(あずさのこと、言ってるんだな…)


『…まぁ、仕方ないよ。おれは彼氏じゃねーから。』


───「とりあえず、キスしてこい。」


けしかけたのは自分なだけに、虚しさのやり場がない。


(まぁでも…浩巳くんが歩み寄ってきてくれただけで満足かな。やっぱ弟みたいだったし…)


背伸びしたいような浩巳の悩みは、カズヤを優しい気持ちにさせた。


(情ができたところで、おれも潮時だ。やっと諦めつけれそーかも…)


『彼氏彼女ってそんなに楽しい?』


細くため息をつくカズヤの横で、
芽衣は花火を見つめながらつぶやいた。


『あたしには分からないな…
友達と遊ぶのが、こんなに楽しいから。』


『まぁ…友達といて楽しいのは皆一緒だろ。
プラス、もっと近くて甘えられる存在が…恋人なんじゃね?』


(なんかおれ、人の悩み相談ばっかなんだけど…)


『それって、犬じゃダメなの?』


(……はい??)


『………別にいいんじゃない?』


『なるほどねー!あたしにとっては愛犬が彼氏みたいなもんか!超甘えんぼだし♡確かに、2人きりの世界に入る気持ち、分かるかも!そっか〜♪』


『…芽衣。』


『ん?』


『お前、一生結婚できなさそう!』


『なにー!』


『どぅわアチチチチチ!ばか!危ねーだろが!!』






悩める少年と、それを取り巻く
恋慕、嫉妬、失恋、友情、…
寄せては返す波のように彼らの中に満つる感情、引きつ想い。
様々なシナリオを描いた長い一日は、それぞれに終わりを告げたのだった。


ザザァァーーーン…

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