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白雪姫にくちづけを
第25章 オオカミ予報*
『ごめんね。起こすつもりはなかったけど…全然気づかれないのも釈だなぁって思って。』
浩巳はベッドの淵に腰掛けながら、頭だけ振り返る。
『ドア開けても、名前呼んでも、テレビつけても、あずさ寝てるんだもん…よだれたらしながら。』
『!?うそっ…!』
あずさは咄嗟に口元を拭ってみるが…
『はは、嘘。』
その手は彼への攻撃に向けられた。
『いててて!ごめん!朝ごはん作るから許して!』
そもそも、彼に合鍵を渡したのは昨日のこと。
先日、お互いのバイトあがりに部屋で待ち合わせをした際…
あずさのバイトが押して、寒空に彼を待たせ続けたことが要因だった。
(そりゃ、いつでも来ていいよとは言ったけど…朝って、何か反則…//)
浩巳がキッチンにいる間、あずさはボサボサの頭を鏡で見ながら赤面した。
顔を洗って、手早く髪をとかす。
寝間着を着替えた頃、おいしそうな朝食がやってきた。
『わぁー…いただきます。』
『いただきます。』
朝食は2人分。
目玉焼き、ハムの他にサラダまである。パンと紅茶は食欲をそそる香りを醸し出している。
『おいしー。』
『はは、大げさだね。』
今日は金曜日。
まさか、平日の朝に2人で朝食をとれるとは思ってもなくて、あずさは新鮮な気持ちになった。
(これからお互い用意して学校だけど…なんか、一緒に住んでるみたいだな。)
『ね、今日も寄っていいでしょ?』
浩巳はパンをかじりながら、あずさに話しかけた。
『うん?あたしバイトで遅いけど。』
『ん、おれもバイト。その後。』
『い、いいけど…昨日も遅くなったし、明日にしたら…?』
『あずさの試験中、ずっと会うの我慢してたのがまだ収まんない。待ちたくない。』
(た、たまにすごくワガママなんだよね、浩巳///)
『だめ?』
『だめじゃない…//』
(そんなの、分かってるくせに…)
彼女の返事に、浩巳は満足そうに紅茶をすすった。