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白雪姫にくちづけを
第5章 くちづけ


『どうせっ…誰とも付き合ったことなんてないし…!
…バカにしてるんでしょ!///』


興奮しきって火を吹きそうな あずさの頬を、浩巳はゆっくり撫でた。


『バカにはしないよ。
ただ、お前モテそうなのにって…意外だっただけで…』


彼のやさしい掌。その憂いを帯びたような瞳に捉えられ、あずさの動きが止まる。
目を合わせたまま、浩巳は静かに告げた。


『ごめん。』


『………//』


『…………でも、あずさ。

初チューは、もう おれ達してるよ?』


『?!

はっ?!えぇぇぇぇ?!?!?!』


『いや、あずさは知らないと思うんだけど、昔、あずさが寝てる間にしちゃったんだよね。アハハ//』


『───んな//!』


(なにそれ!!寝てる間ぁ?!

じゃあ、私が知らなかっただけで、とっくに私のファーストキスは終わってたの??
そんな!そんなの…数に入るの?


でも…


…………て、ことは、


浩巳のファーストキスの相手は私?なんだよね?

それはなんか…嬉しい…かも、なんて//)


一人うつむき、無言で ぐるぐると思考を巡らせる あずさの姿は…


浩巳には、ショックで言葉を詰まらせているように映った。


ため息まじりに立ち上がると、彼はあずさを見ずに歩き出した。


『ったく…、キスくらいで騒ぎすぎ。もう行くぞ。』


『あっ…』


アパートまでの間、2人は一言も話さずに歩いた。


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