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白雪姫にくちづけを
第6章 悩めるオトメ•ン
『おはよう、あずさ!こっちこっち!』
『おはよう、りっちゃん、芽衣ちゃん!
あ、今日はカズヤも一緒?』
『雅人が休みなんだ。一緒に受けさせてよ。』
あずさが大学に入学して、2ヶ月が経とうとしている。
同じ学部の梨々子(りりこ)と芽衣(めい)は、ほとんど同じ授業を選択していて、毎日行動を共にしている。
カズヤ(本名は「和宮祐也」かずみやゆうや)とも、学部とアパートが同じで、よく顔を合わす仲だ。
『さっき3人で話してたんだけどさ、今日、久々にカラオケでも行かない?』
『あたし、今日からバイトなんだ。18時~だから、3人で行ってきて。』
あずさが着席して間も無く、始業ベルが鳴る。
『そっか、今日からだっけ。例のパン屋さん?』
『パン屋で18時~バイトって、何時までやってるの、そこ?』
『それ“ヨネムラ”のこと?あそこ結構流行ってて、遅くまで開いてるよな。21時だっけ?』
同じアパートに住むカズヤは、パン屋の目星がついたらしい。
『そうそう駅横のヨネムラ!普段21時だけど、週2回は22時までやってるんだよ。』
『そこ、講義を聴く気がないなら出ていきなさい!』
『わわっ…』
大学での生活にも慣れてきたあずさは、生活費の為、バイトを探していた。
つい先日、ヨネムラの求人を見つけて すぐさま申込み、今日からの採用が決まったのだ。
一人暮らしのあずさにとって、毎食の食事は地味な課題でもある。
越してきてからというもの、ヨネムラのパンには何度も救われてきた。