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白雪姫にくちづけを
第27章 忘却のカケラ
ガタンゴトン…
『あずさ、あずさ。次、降りるよ。』
『ぅんんー…?』
心地よく揺れる車内。目的地の駅名アナウンスと共に、あずさは目を覚ました。
『んいぃーー!』
12月。冬も本番となり、日に日に寒さが増す近頃。
駅を出れば、澄んだ冬の空。
暖房に熱を持たされた肌の上を、心地よく風が滑ってゆく。
『よく寝たね?』
両手をつき上げて伸びをする彼女に、浩巳は話しかける。
『ご//ごめん!どれくらい寝てた?』
『ん、ものの40分。』
(ほとんどだし///)
今日は初めての遠出。
電車を乗継ぎやって来たのは、とある温泉街。
あずさの誕生日祝いにと、浩巳が計画した一泊二日の旅行だ。
『浩巳っお腹すいちゃったー。お店探そ?』
『あはは、ゲンキンー。』
彼らにとっては恋人と過ごす、初めての旅行。
喜色満面な2人は、期待に胸を踊らせていた。