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白雪姫にくちづけを
第27章 忘却のカケラ
『きゃー!可愛いねー!』
同じようにロビーに座る若い男女。
彼らもあずさ達に続いてチェックインしたようで、お茶セットを受取った所だ。女性は、それを嬉しそうに写メに収めている。
(…う//女の子っぽい反応。あたしってば、出されてすぐに食べちゃったのに///せっかくの初めての旅行なんだから、写真いっぱい撮らなきゃだよね!?)
あずさは慌てて、携帯を浩巳に向けた。
カシャ
『は?』
お茶を飲み終え、特にすることなく横を向いていた浩巳が、あずさの携帯に保存された。
『えっと///思い出!』
『…普通は食べる前か、最中だろ?』
呆れ顔の浩巳も少し照れた表情を見せる。
あずさがもう一度、庭園をバックに彼を撮ろうとすると、すかさず逃げられた。
『あ。ちょっとー!』
『何でおれだけ//あずさこそ撮ってやるから!』
撮る、逃げる、の攻防戦を互いに繰り広げていると、気を利かせた案内スタッフがシャッターを押してくれた。
『ありがとうございます//』
(実は、2人で写メなんて初めて//嬉しいな。)
初々しい彼女らの姿は、ロビーで一際視線を集めていた。