この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
白雪姫にくちづけを
第27章 忘却のカケラ


『………。』


無言で歩く彼。
(浩巳、怒ってるのかな…
あんな風に他人に言い返すなんて、浩巳らしくないような…)


心配そうに見上げるあずさの瞳に映るのは、前だけを見据える、彼の横顔。そこからは、彼の心理は読み取れない。
しばらくして人混みを抜けると、彼はようやく彼女に目を向けた。


『大丈夫だった?ごめんね、はぐれたの気づかなかった。』


とても穏やかな彼の口調。
てっきり、仏頂面で文句を言ってくると思っていたあずさは、拍子抜けした。


『ううん、あたしこそゴメン。よそ見してて…』
(あれ?あの男の人のこと、もっと怒ってると思ったのに…)


『変なこと言われたり、されたりしなかった?』


『うん。すぐ、浩巳来てくれたから。お茶に誘われただけ。』


『…そう。ああいう変な奴はいくらでもいるよ。あんなの、相手にしなくていい。』


『う、うん…』


『宿でも話しかけてくるかも知れないから、動く時は一緒にいような。』


『うん//』
(何だか堂々としてて…今日の浩巳、かっこいぃ//)


『そろそろ帰ろうか。宿の温泉入ったらちょうど良い時間だよ。夕飯、楽しみだね。』


彼はあずさをまっすぐ見つめて微笑む。
繋いだ手。それは彼女にはとても頼もしく感じられた。


(いつから、浩巳はこんな男の人っぽくなったんだろう…昔は、あんなに泣き虫だったのにな。)


















──=「ぼく、つよいおとなになる! 」=──



















(…え?今の、何……?)


















『あずさ、どうかした?』


ふと歩みを止めた彼女に、彼は尋ねる。


『あ…ううん。何でも。今日、寒いね!』


『あぁ。…じゃ、走る?負けた方はジュースおごりな!よーいドンッ!』


『え、えぇ?!ちょ!ズルイ!待って──…!』


乾いた風吹く帰り道。
宿までの坂道を、2人は競って駆け上がった。



/286ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ